「あれ?この匂い、もしかして…カメムシ?」となること、季節によってはしょっちゅうです。
とくに秋口になると、窓辺や洗濯物にくっついてくるあの小さな虫。
中には「緑のカメムシは臭い」「いや、茶色の方がやばい」と意見が分かれることも。
この記事では、そんな疑問に答えるべく、カメムシの色によって本当に臭いに違いがあるのかを徹底調査!
さらに、地域によって多い色や植物との関係、臭いの強さが変わる時期、そして効果的な対策や駆除方法まで、まるっと解説していきます。
カメムシの臭いの違いとは
カメムシの色ごとに違う臭いの特徴や、なぜ悪臭を放つのかの理由を詳しく解説します。
緑のカメムシの臭いと特徴
緑のカメムシといえば、代表格はアオカメムシやツヤアオカメムシ。見た目は鮮やかな緑色で、葉っぱの上や壁に止まっているときも背景に溶け込んでいて案外見つけにくい存在です。日中に活動していることが多く、洗濯物などにつくこともよくあります。
そして問題の臭いですが、これがなかなか強烈。例えるなら、香水が腐ったような、あるいは刺激の強い青臭さを伴った甘ったるいにおい。鼻の奥にいつまでも残るような感じで、ほんの少しでも服や指につくと、普通の石けんではなかなか落ちません。とくに潰してしまった場合は最悪で、そのにおいは長時間残ります。
また、風に乗って飛んできてはぶつかった拍子に臭いを放つこともあるため、「気づいたら臭いがする…でもどこにもいない!」なんてことも。緑色のカメムシはその鮮やかな色とは裏腹に、日常生活に不意打ちを与えてくる厄介な存在と言えるでしょう。
茶色のカメムシの臭いと特徴
茶色系でよく見られるのはクサギカメムシ、マルカメムシ、スコットカメムシなど。クサギカメムシは比較的大型で、その分視認性が高く、人目につきやすいのが特徴です。対して、マルカメムシやスコットカメムシは緑のカメムシに比べて体が小さめで、全体的に目立ちにくく、気づかないうちに室内に入り込んでいることもあります。
臭いは若干控えめとも言われますが、侮れません。
というのも、種類によっては臭い成分の組成が異なり、ツンとくるような酸っぱい匂いを放つタイプもいるのです。これは鼻に刺さるような刺激臭で、苦手な人にとっては緑のカメムシ以上に不快に感じることもあります。
茶色のカメムシは越冬のために秋口から積極的に屋内に侵入してくる傾向があり、寝具やカーテンに潜んでいることも。そのため、不意に触れてしまって臭い被害に遭うケースが多く、注意が必要です。
臭くないカメムシの種類
じつは、すべてのカメムシが臭いわけじゃありません。たとえばアオバアリガタハネカメムシなど一部の種類は、あまり匂いを出さないことで知られています。こういった種類は人間に対する害も少なく、たとえ近くにいても気づかないことも。
ただし、完全に「無臭」とも言い切れません。あくまで刺激が少ないというだけで、捕まえたり刺激を与えたりすれば多少の臭気を発する場合もあります。油断せず、見つけてもむやみに触らないのが得策です。
悪臭を発する理由
カメムシが臭いを出すのは、防衛本能の一種。敵に襲われそうになったとき、自分の身を守るために臭いで相手をひるませ、逃げる時間を稼ぎます。そのため、潰したり強く触ったりすると、強烈な匂いが噴き出すことになるのです。
この臭いの元は、カメムシの体内にある「臭腺(しゅうせん)」という器官から出る分泌物で、主な成分にはアルデヒド類やエステル類が含まれます。これらが混ざり合ってあの独特の悪臭を生み出しているわけです。種類や個体差によって含有量が異なるため、同じカメムシでも「今日は特にクサい!」と感じることがあるのです。
カメムシの地域別の臭い
地域によって多く見られるカメムシの種類や、その地域ならではの臭いの傾向をまとめました。
緑のカメムシが多い地域
緑のカメムシは、温暖で緑豊かな地域に多く見られます。
たとえば関西や九州地方では、果樹や水田が多いため、緑のアオカメムシやツヤアオカメムシがよく飛び交っています。これらの地域は湿度も高めで、植物の生育が活発なため、カメムシにとっては格好の生息地となっています。
また、南向きの斜面や人家周辺の庭などでも多く見られ、果樹の実に直接被害を与えることも少なくありません。
特にミカン農家や桃農家では、収穫期になると実にカメムシが刺してしまい、その部分が黒ずんで商品価値が落ちるといった問題が発生します。こうした被害は、見た目には小さな虫でも、経済的損失としては非常に大きな影響を及ぼします。
そのため、果樹園などでは防虫ネットの設置や誘引植物の管理など、さまざまな対策が講じられています。
茶色のカメムシが多い地域
一方で、茶色のカメムシは東日本や寒冷地によく見られる傾向があります。山間部や落葉樹林の多い地域では、越冬に強いクサギカメムシ(体が大きく目立つ)や他の茶色系カメムシが目立ちます。特に秋になると、家屋の隙間や屋根裏に集団で侵入しようとする習性があり、「窓の隙間から大量発生!」なんて話も珍しくありません。
また、寒冷地では冬越しを見越したカメムシの行動が顕著になり、日当たりの良い南側の壁や、暖かい空気が逃げやすい換気口の周辺に集まってくることも。
このような環境では、外壁に張りついた茶色のカメムシがそのまま室内に侵入し、冬場でも不快な臭いを撒き散らす原因になります。
地域による臭いの違い
地域で多い種類が異なるため、結果的に「うちの方は臭い」「あっちはそうでもない」と感じることが多いです。たとえば関東では茶系、九州では緑系のカメムシが多いため、臭いの傾向にも地域差が出るのです。
さらに、気候や地形によってカメムシの活動時期にも差が出るため、「この時期に多いから臭い被害もひどい」と感じることがあります。
たとえば、九州では10月頃から洗濯物被害が増加しやすいのに対し、関東や東北では11月以降に越冬準備のため家屋侵入が増える傾向にあります。つまり、地域の気候がカメムシの発生時期や臭いの強さにも影響しているのです。
カメムシと植物の関係
カメムシが好む植物や農作物への被害、植物に与える影響について解説します。
植物に寄ってくるカメムシの種類
カメムシは基本的に植物の汁を吸って生きています。
稲や大豆、果物の木など、汁が豊富な植物に集まりやすい性質を持っています。特に果樹園や畑、庭木のある住宅地では頻繁に見かけられ、農業地帯では大きな問題となることも少なくありません。
カメムシの種類によって好む植物には偏りがあり、緑系のカメムシは果樹や野菜など、比較的やわらかくて水分を多く含む植物を好む傾向にあります。
一方で茶色系のカメムシは、野山や道路脇の雑草、樹木の葉など、やや硬めの植物や自然の中にある植生に集まりやすいです。
また、植物の種類だけでなく、季節によっても集まる植物が変わることがあります。
春から夏にかけては新芽や若葉を狙い、秋になると実のなる果実を目当てに集まってくるため、家庭菜園や鉢植えなども例外ではありません。
被害を与えるカメムシ
とくに農作物への被害は深刻で、汁を吸われた果物は見た目が悪くなり、出荷できなくなります。果物に小さな黒い斑点ができたり、皮が変色することで商品価値が下がってしまうのです。
また、野菜に関しても葉や茎を吸われると変色や奇形が発生し、成長が阻害されることがあります。稲穂もカメムシに吸われると黒く変色してしまい、米の品質が落ちてしまいます。さらに、被害が進むと「斑点米」として等級が下げられてしまい、農家にとってはまさに天敵です。
一部のカメムシは集団で作物に群がることもあり、その被害範囲は想像以上に広がることがあります。
発見が遅れると収穫直前の作物すべてが廃棄対象になることもあり、農業経営にとっては大きな打撃となります。
植物のへの影響
汁を吸われることで、植物は栄養をうまく運べなくなります。
その結果、葉が枯れたり実が育たなかったりといった影響が出ます。とくに発育段階の植物はダメージを受けやすく、成長途中であっても実のつきが悪くなったり、見た目がしおれてしまうこともあります。
また、カメムシの針のような口で刺された部分には傷がつき、そこから病原菌が侵入するリスクも高まります。これにより植物が病気にかかりやすくなり、ほかの健康な植物にまで悪影響が及ぶことも。
見た目には分かりづらくても、植物の内側では深刻なダメージが進んでいることがあるため、注意が必要です。
カメムシの繁殖時期と臭い
季節ごとの臭いの変化や、繁殖期・越冬期におけるカメムシの行動と臭いの特徴を紹介します。
繁殖期に発生する臭い
春から夏にかけてカメムシは繁殖期を迎えます。この時期は活動量もグッと増え、仲間との接触や縄張り意識も高まるため、ちょっとした刺激にも敏感になります。
その結果、人間が近づいただけで反応し、すぐに臭いを放つことがよくあります。また、カメムシ同士が接触したり衝突した際にも臭いを発する場合があり、繁殖期は空気中に臭いが漂いやすい季節でもあります。
特に梅雨明けから真夏にかけては、気温も湿度も高いためカメムシの動きが活発になり、屋外で干した洗濯物への被害が激増します。白いシャツやシーツに知らぬ間に止まっていて、そのまま取り込んでしまい臭いがついてしまう…というのは、よくある被害の一つです。
衣類だけでなく、網戸や窓辺、玄関先などにも頻繁に現れるため、日中の活動時間帯には注意が必要です。
越冬後の影響
秋になるとカメムシは越冬準備に入り、寒さを避けるために家屋の中に侵入してくることが多くなります。天井裏や壁の隙間、物置などに潜んで冬を過ごしますが、冬の間は寒さでほとんど動かず、臭い被害も比較的落ち着いています。
しかし、春先になると気温が上昇し、カメムシたちが一斉に目を覚まし始めます。冬の間に家の中に入り込んでいた個体が、突然活発に動き出すため、思いがけず室内で遭遇し、臭いを放たれるケースが増えてきます。
とくに気温が急に高くなる日や晴れた日の午前中などは、活動が一気に活発化しやすく注意が必要です。
時期別の臭いの変化
夏は活動がピークを迎えるため、臭いの頻度も強さも最大となります。
暑さで動きが素早くなり、ちょっとしたことで防衛本能が働いて臭いを出す場面が増加します。反対に冬はほぼ休眠状態となるため、動く姿も少なく臭いの心配も比較的少ないでしょう。
また、春と秋は季節の変わり目で活動が再開されたり減速したりする時期にあたるため、予測が難しい時期でもあります。とくに秋の終わりや春の初めには、一気に活動が集中しやすく、集団で侵入・発生するケースも。
こうした季節ごとの変化を意識して、時期に応じた対策を講じることがカメムシ対策のコツです。
カメムシの対策と駆除方法
色別のカメムシへの対策法や、自宅への侵入を防ぐための効果的な駆除・予防方法を解説します。
緑のカメムシに対する対策
緑系カメムシには、植物に近づけないことが基本対策です。とくに果樹や観葉植物など、水分の多い植物に引き寄せられやすいため、ベランダや窓際の植物はできるだけ整理しておくとよいでしょう。また、網戸は隙間なく閉じておくことが重要で、ちょっとしたズレや穴があるだけでもカメムシの侵入を許してしまいます。風通しの良い日には窓を開けたいところですが、網戸のチェックは日常的に行ってください。
市販の忌避スプレーを窓周辺に使うのも有効です。ハーブ系の香り(特にペパーミントやレモングラスなど)を嫌う傾向があるため、天然成分由来のスプレーを選ぶと安心して使用できます。
さらに、洗濯物を干す際にも注意が必要で、洗濯ネットを活用したり、風の強い日は取り込み前にしっかり確認することが大切です。
茶色のカメムシに対する駆除
茶色のカメムシは隙間から家の中に入ってくるケースが多く、特に秋から冬にかけての越冬時期にはその傾向が強まります。
そのため、家の気密性を高めることが非常に重要です。窓やドアのパッキンを確認し、劣化している場合は早めに交換しましょう。郵便受けや通気口など、一見盲点になりがちな場所もチェックが必要です。
また、侵入経路になりそうな場所に虫除けスプレーをこまめにまくことも効果的です。定期的に散布することで、においを警戒して近づかなくなるケースが多いです。
特に出入りの多い玄関周辺や物置の入り口などには重点的に対策を行いましょう。室内で見つけた場合は、無理に潰さず、ガムテープや専用の捕獲器具で丁寧に処理するのが鉄則です。
自宅の侵入防止方法
共通の予防策として、網戸の破れはすぐ修理、玄関や換気口に防虫ネットを貼るなどの物理的対策が基本です。
特に2階以上の住居でも油断は禁物で、意外と高所まで飛んできて侵入してくることがあります。ベランダの排水口や換気扇のすき間も、スポンジや目の細かいネットでふさぐなどの工夫が有効です。
さらに、ハッカ油やミントなどの天然成分のスプレーは、匂いを嫌って近寄らないカメムシには効果的です。
部屋の入口付近や窓枠などにスプレーしておくと、侵入防止とともに消臭効果も期待できます。また、LEDライトを使用している家庭では、虫が集まりにくい性質を活かすことで夜間の飛来数を減らす効果も。日々の小さな工夫が、大きな被害を防ぐ第一歩になります。
まとめ
緑のカメムシの方が臭いが強いと言われがちですが、実際は種類によって差があり、一概には言えません。
地域や時期、行動パターンによっても臭いの強さや出す頻度が変わるため、「どっちが臭い」と断定はできないのが本当のところ。ただし、緑系の方が出会う頻度も高く、臭い体験をしやすいことは事実です。この記事では、カメムシの色・臭い・行動パターン・地域性・植物との関係・時期的特徴・対策まで幅広く紹介してきました。
次にカメムシと遭遇したときに「あっ、こいつか」と冷静に対処できれば何よりです。うまく付き合って、あの独特の臭いから解放されましょう!